2021年卒の就活生の皆さんは、今まさにサマー・インターンシップの応募・参加ラッシュで忙しい日々を送っていることと思います。
特に、外資系金融機関や外資系戦略コンサルティング企業といった「超難関」とされている業界への志望者の皆さんは、もはやすでに臨戦態勢といったところでしょうか。しかし、冷静に考えてみれば、皆さんが大学(院)を卒業するのは2021年3月末ですから、卒業までにあと1年9ヵ月くらいあるのですね…。企業も早く学生を採りたい、学生も早く内定を取りたいという利害の一致した結果なのですが、初めて務めることになる会社です。すこし冷静に仕事そのものを考えてみてみたいものです。
目次
「地頭の良さ」が大切と本気で考えていたら、多分落ちます。
なぜなら、「地頭」なんて不明瞭な言葉を使う人の知性は疑わしいからです
「頭がいいってどういう意味?」という問いは、深遠な問いです。
恐らく100人に聞いたら100通りの答えが返ってくるでしょう。
真に頭の良さの定義を考え抜くならば、これは相当に時間をかけて思考して文章をまとめないとモノにならないでしょう。
それくらいの難問です。
(これも不可解ですが)今の日本の就活生コミュニティでは、外銀・外コンに行く人は、頭のいい人だと考えられています。
そして頭の良いはずの外銀・外コン志望者にも、やたらに「地頭」という言葉を使う人がいるから、大変に不可解です。
実際に賢い人から見ますと、「地頭」という言葉を使った時点で、「僕って、普通の学生より頭いいって信じちゃってるんすよね、特に根拠ないっすけど。」と告白してしまっているようなものです。
ですから、「地頭が…」と面接会場で話し出す就活生は、いい印象を与えないように思います。
「フェルミ推定」を選考でやらせる理由を考える人が受かる
「フェルミ推定」って何の役に立つのさ?と思いませんですか。
私は北関東の某G県出身のいなかっぺですので、万事周りよりワンテンポ遅いのですね。
そうしますと、周りが「フェルミ推定」の勉強会とかをやっているのを見て、本屋で「フェルミ推定の本」なんてのを見てみますと、「日本国内にパチンコ屋はいくつあるか?」みたいな問題が書いてあるのをみて、なんだこりゃ、とあきれるわけです。
私は正直に言いまして、なんでこんな問題をすらすら解ける人を、頭がいい人だと、世の中の人は思うのだろうと、よくわかりませんでした。
「そんなの図書館に行って警察統計を見てくれば分かるじゃないか」と思ったのです。
フェルミ推定的な思考の重要性はわかるが、試験として適切かはわからん。
働き出しまして、フェルミ推定的な思考の重要性は、非常によくわかりました。
ある結論を得るためには、色々な要素ないし変数が必要です。その変数を抜けもれなく並べ立てて、その変数に値を代入してみることによって、結論の見通しを得るわけです。
こういう考え方は、作業の所要工数の見通しを得たり、あるいは見積額の根拠となる数値を作り出すときに絶対必要になる考え方なのです。
ただ、どういうわけで「日本のパチンコ屋の総数を推定する変数を30分なり1時間で組み立てさせるのか」その試験方法についてはよくわかりませんでした。
戦略コンサルはなかなか思いつけない発想の出し手を求めている?
ただ、順を追って考えていきますと、戦略コンサルタントの方々は、やはりその業界のプロフェッショナルであるクライアントが考えてもなかなか思いつかないアイデアを短時間で思いつくことを要求されているらしいので、一見誰にもわからないような解を解くための要因の特定を素早くできるかどうか、試されているのかもしれないなと、何となく納得しました。
(私はシステムコンサルというか、業務改革コンサルというか、グローバルロールアウトコンサルというか、そんな仕事をしている者です。結構海外出張多くて楽しいですよ。変な人も多くてこれまた楽しいです。)
なお、私は自分でモノを考える姿勢があることを自慢したいわけではありません
私はなぜフェルミ推定をコンサルティングファームの入社試験に取り入れられているかを考える姿勢があったとしても、絶対に戦略コンサルタントにはなれません。
なぜなら、私には体力がないからです。
外銀・外コンの給料は健康を削っている賠償金を含んでいる
納期遵守の為なら一徹でも二徹でも…
人間は、もともと夜明けとともに起き、日が高く暑くなる真昼には昼寝し、日の傾いた夕方にもう一仕事して、日の暮れた夜に一杯やりながら夕飯を食べてぐっすり寝るように作られていました。
人間がこのような生活リズムを崩しだしたのはおよそ200年前の1800年頃のイギリスの産業革命がきっかけです。産業革命というのは、機械を買ってそれを人間に操作させることで製品を産出する、という生産方式です。
ですので、朝だろうが夜だろうが真夜中だろうが、人間をたたき起こして機械を動かし続けることが資本家の利益になるわけです。
そこで人間は人間の摂理に反して、真夜中に働くことになりました。
時代は下ってたったの200年のうちに、納期のために徹夜するようになりました。そのような狂った社会病理の原因は多岐にわたるので分析は一旦置きます。
しかし、外銀・外コンは、特に納期遵守のために人間を機械のように扱う業界であるという事実を、就活生の皆さんには伝えておく必要があると思います。
ピラミッド組織の中での容赦ない Up or Out 制度にあなたは耐えられるか?
日系の会社同様、外資系企業も、平(アナリスト)の人数が一番多く、コンサルタント、マネージャー、シニアマネージャー、マネージング・ダイレクターという順に人数は減っていきます。
そして、そのような環境の中で、Up or Out(出世せよ、さもなくば退職せよ)のルールが容赦なく適用されるわけです。
そういうルールの下に、納期遵守のための連日連夜の徹夜労働が要求されます。
労働基準法を盾に、拒否する権利はあります。しかし、あなたにはUp or Out ルールが適用されているのです……。
就活生よ!もっと視野を広く持ちなさい!!
私も普段職場でここまでのらりくらり話してません
この記事で、私があえてとりとめもなく色々な話題をのらりくらり話したのには、理由があります。
それは、2021年卒就活生の皆さんには、今は色々人生や社会のことについて、幅広くものを考えてもらいたいからです。
特に、外銀や戦コン、商社を狙っているような学生さんほど、今の時期から大学入試対策同様に、色々とテクニカルに内定獲得戦略(否、戦術ですか)を考えているのは、才能と時間の無駄遣いでして、大げさな話日本社会の損失です。
本を読もう。歴史を学ぼう。
別にカルカッタのマザー・テレサセンターでインドの浮浪者の介護をしろというわけではありません。しかし、実はマザー・テレサはCIAのスパイで、第3世界(アメリカにもソ連にもついていなかった国々ですね)を親米的にするように世論工作する密命を帯びていたことを、大学図書館にある本で読むことには価値があります。
プロシアの宰相ビスマルクは言いました。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」と。
内定するための戦略を立てるより先に、どこに就職しようか考えましょう。
まさに、見出しのとおりです。
内定するための戦略を立てるより先に、どこに就職をしようか考えましょう。
国策に奉仕するものとして戦略があるわけですが、国策が決まっていなくて戦略だけ先に決まっていては、これは二次大戦当時の日本とまるっきり同じことですよ!