私は某上場企業で10年以上、新卒採用の仕事に携わってきました。
採用人数500人以上、出会った学生さんの数は数万人です。
10年も採用の仕事をしていると、採用環境はめまぐるしく変わっていることに気づかされます。
採用スケジュールは政府や経団連の意向により変化していますし、採用手法も大きく変わってきました。
そんな中で、絶対に変わらないものがあります。
それは「面接での対策・コツ」です。
すべての会社で当てはまるとは言い切れませんが、10年間の経験をもとに現場の人事担当者の生の声としてお伝えします。
面接対策の大きな謝り
まず、学生のみなさんの面接対策の中には大きな誤りがあります。
もちろん就職活動のマナー、社会人としてのマナーはとても大事です。「マナーのある学生さんだ」と思われることは間違いなく好印象に映ります。
しかし、この見栄えとしての就活マナーに翻弄されて、面接の中身が伴っていない方が多すぎるように感じているのです。
例えば、面接会場に入るや否や足がもつれてコケてしまった学生さん。あまりにパニックになってしまい、その後の面接でも顔を赤らめて言葉に詰まっていました。
「コケたこと」はそもそも何のマナー違反でもありませんので、我々人事担当者もまったく気にしていませんし、ご本人もまったく気にする必要はありません。
他にも、「御社」という単語が言えずに慌てて訂正をして、ひたすら謝る学生さん。
我々担当者も、学生のみなさんが「御社」という単語に慣れていないことぐらい十分わかっています。多少の言い間違いは評価にほとんど影響しませんのでご安心ください。
以上を踏まえて、私からのアドバイスはたった一つです。
「面接の本質を考えるところからスタートする」ということです。
- 面接とはどういった場でしょうか。
- 企業側はどういった思いで面接に臨んでいるのでしょうか。
しっかりと考えてみましょう。
企業側からすると、
という場なのです。考えてみれば当たり前のことだと思います。とても単純なことなのです。
労働者1人を雇うのに企業は大金を投資するわけです。
「この方に投資して大丈夫なのだろうか。一緒に同じ方向を向いてがんばってくれるだろうか。」ということについて、企業としての判断をしなければいけません。その判断材料として、人事担当者は学生のみなさんに質問を投げかけます。
したがって、学生のみなさんが面接の中で積極的に表現すべきことは以下2点です。
自分自身がどういう人間なのか「正確に」「上手く」伝える
あなたが採用担当者の立場なら、素性がわからない人を採用しようとは思わないはずです。あなたという人間を正確に、相手に伝わるように表現しましょう。
絶対に嘘をついてはいけません。
採用担当者もプロフェッショナルとして仕事をしています。簡単な嘘なら見破ってしまいますし、あなた自身も深掘りされたら答えに詰まってしまうはずです。
ただし、嘘はいけませんが、「上手く」表現することはまったく問題ありません。言い方によってはネガティブイメージを与えることでも、言葉を替えればポジティブに映るかもしれません。
そこで表現したことがこの会社でどのように活かせるのかという点についても自信を持って伝えましょう。
企業に対する熱い思いを語る
学生のみなさんはたくさんの企業を受験すると思います。たくさんの面接に参加していると、どうしても志望動機が似通ってくる傾向にあります。
まるでどの会社でも同じことを言っているような、コピペの志望動機。これでは、「その会社」に対する思いは伝わりにくいです。採用担当者は、「上っ面の綺麗ごとを並べているようだ」と感じています。
もし語ることだできないのであれば、その会社はあなたが受けるべき会社ではないのかもしれません。入社できたとしても、熱意のない仕事は続かないからです。
内定・入社をゴールとせずに、その先の仕事人生を含めて、あなたの思いを語るべきなのです。
また、最近の学生さんに多くてびっくりしているのが、企業への「志望度合い」です。
素直なのはとても良いことなのですが、志望度合いについて質問をすると「御社は第二志望です」と平気で答える学生さんが多いです。
選考の序盤で言い切ってしまうのはあまり利口ではありません。
ここでも「上手く」表現すべきですね。
以上のように点に気を付けて面接対策を行っていきましょう。
学生のみなさんの中にはどうしても「テクニック」から入りたがる方が多いように思いますが、そもそもの面接というものについて考えてみてください。
特に、企業側の立場になって、人事担当者の目線になって面接を考えてみましょう。
新卒採用の現場で学生のみなさんは自分たちが主役だと考えると思いますが、企業側もその場にいるプレイヤーなのです。相手の目線で、相手の立場になれるというのは、面接の場においてもとても大事な能力です。